デザイン学研究
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ラフ集合と形式概念分析を用いた概念構造可視化システムの開発
酒匂 一世原田 利宣
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2017 年 64 巻 3 号 p. 3_11-3_20

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抄録

 データマイニングに利用される分析手法のひとつであるラフ集合は,決定ルールによってある結論に対する属性間の因果関係を簡潔に表現することが可能な一方で,複数の決定ルール間の概念構造(包含関係)を把握しづらいという欠点があった。そこで,本研究では決定ルール間の概念構造を可視化し,ラフ集合の欠点を補う方法論の提案を目的とした。具体的には,属性間の包含関係を主とした概念構造をハッセ図によって可視化することが可能な分析手法である形式概念分析をラフ集合と組み合わせ,双方の分析手法を同時に実行し,ハッセ図上に決定ルールを投影する概念構造可視化システムを開発した。加えて,既存の書籍や論文に掲載されているデータに対するラフ集合解析を用いた分析結果と本システムを用いた分析結果を比較し,システムの有用性を検証した。その結果,異なる決定クラスに属する複数の決定ルールに含まれる属性値や,属性値が有する決定クラスを確定させる影響力の大小など,各分析方法を独立に用いても発見しづらかった知見を得ることができた。

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© 2017 日本デザイン学会
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