生体医工学
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心筋細胞のメカノストレス応答を解明する拍動同期伸展システム
小泉 彩芽木村 雄亮青山 千裕池内 真志
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 366

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抄録

心臓は拍動に伴い血行力学的な負荷(メカノストレス)を受ける。メカノストレスの増大は心肥大を引き起こし、その状態が長く続くと心不全に陥る。心筋細胞のメカノストレス応答の解明を目的として様々な細胞伸展デバイスが開発されているが、伸展刺激の位相に着目した研究は行われてこなかった。心筋細胞は拍動周期の中で位相によって異なる負荷を受けるため、細胞への伸展刺激の付与において自律拍動との位相差を考慮することには重要な意味がある。そこで本研究では、心筋細胞の自律拍動の位相に応じて伸展刺激を付与できる細胞伸展システムの開発を行った。アクチュエータには高い分解能と応答性を有するピエゾアクチュエータを採用し、倒立顕微鏡により撮影される動画からの拍動検出にはオプティカルフローを用いた。システムの機能評価実験の結果、細胞の拍動開始を検出し、伸展を行うまでの応答時間は約20msであることが確かめられた。また、周期的伸展実験を行い、遺伝子発現量等の評価により、心筋細胞の伸展刺激に対する応答解析を行った。さらに、自律拍動の特定の位相における伸展刺激により異常拍動現象が誘発され、心臓震盪のin vitro病態モデルとしての可能性が示された。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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