腸内細菌学雑誌
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乳酸菌の人工消化液中での生残性
瀧口 隆一鈴木 豊
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2000 年 14 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

アシドフィルスグループの乳酸菌3株 (アシドフィルスLA1株: Lactobacillus acidophilus SBT2062, アシドブイルスLA2株: L. acidophilus SBT 2074, アシドフィルスLG株: Lactobacillus gasseri strain Yukijirushi), ブルガリクスLB株 (Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus SBT0164) およびサーモフィルスST株 (Streptococcus thermophilus SBT1035) の人工消化液中での生残性を検討した.アシドフィルスグループ3株は, 人工胃液および人工腸液に耐性を示した.とくに, アシドフィルスLG株はpH2.5の人工胃液中で3時間保持しても生残し, 最も高い耐性を示した.これらは, 人工腸液 (胆汁末を0.1~1.0%含むMRS培地) 中で生菌数が増加したことから, 摂取後も生きて腸内に到達し, そこで増殖すると考えられ, プロバイオティクスとしての適応性が認められた.これに対し, ブルガリクスLB株とサーモフィルスST株は人工胃液に対する耐性が低かったことから, 摂取後は胃中でそのほとんどが死滅すると思われた.また, 生きて胃を通過したとしても, 人工腸液に対する耐性も低かったことから腸内でも死滅するものと考えられた.

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