2016 年 68 巻 6 号 p. 449-453
2016 年4 月14 日,Mw6.2 の地震が熊本地方で発生し,引き続き本震Mw7.0 が16 日に発生した.一連の地震により,熊本市,益城町,南阿蘇郡およびその周辺の地震断層に沿った地域において様々な地盤災害や構造物被害が発生した.本報告では筆者らが地震後におこなった現地調査で確認された地震被害,特に宅地と土構造物への被害の概要を報告する.益城町においては主に地震動によるものと考えられる建物の構造的被害が生じた.一方,南阿蘇郡の宅地造成地においては,地震動による地盤の大規模な変形により大きな被害が生じた.また九州自動車道で発生した大規模な盛土崩壊に関しては,発生箇所が旧河道上に位置するため,ゆるい河川堆積物で構成される基礎地盤が地震時に液状化したことで被害が生じたと考えられる.